庭木の剪定基本について

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今日は、樹木の剪定について簡単にお話ししたいと思います。
剪定は、樹木を綺麗に保つために必要な管理方法のうちの1つです。





樹木は生長するもの

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樹木は日々生長しており、生きているものです。
春になり新しい葉が出て、夏になり、日差しを浴び、光合成を行い枝が伸び、幹が太くなります。
秋になると葉が紅葉し落葉するものもあります。

このように1年を通して、基本的に同じサイクルで樹木は生長をしています。

剪定を行う意味

必要以上に大きくなってしまった邪魔な枝葉を切るという理由から、剪定を行うことが多いと思いますが、正しい剪定には他にも嬉しい効果があるのです。

それは、
病害虫の予防のため
枝葉が重なり、こみ合ってしまい、日照不足、風通しが悪くなるといった理由から病害虫により枯れることがあります。
 また、重なり合ったお互いの枝同士で、傷がつき、病害虫が侵入しやすくなってしまいます。剪定を行うことによって、これらの問題を解消します。

美しい樹形を保つため、
特に、生垣やトピアリーといった形を整えた樹木は定期的に剪定を行い、美しい樹形を保ちます。

水分のバランスを整えるため
枝葉が多すぎると、根から吸収される水分に対して、葉からの蒸散量が多く、水分のバランスが乱れてしまいます。
そのため、枝葉を落とし、吸収する量と蒸散する量のバランスを整えるために剪定を行います。



このように、樹木の見栄えと健康の双方のバランスを整えることが剪定の役割なのです。


剪定の時期

剪定の時期は、樹種によって変わっていきますが、
常緑樹、落葉樹、針葉樹で、おおよそ、剪定時期を分類することができます。

剪定する時期を誤ってしまうと、樹木にとって、大きなダメージとなり、最悪枯れてしまうこともありますので、
剪定する樹種と、時期を確認して剪定を行いましょう。

常緑広葉樹の剪定時期

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1年中緑の葉をつける常緑樹は春になると、古い葉を落とし、新しい葉を芽吹かせます。
この新葉が芽吹く3月~5月頃の間に剪定を行います。(春季剪定)
また、夏の間に生長し、込み合ってしまった枝を適宜剪定します(夏季剪定)

秋~冬にかけては、葉の生長が弱まるため、強い剪定は避けるのがいいです。


エクステリアで用いる常緑樹の主な樹種としては、
ソヨゴ、ハイノキ、常緑ヤマボウシ、カシ類、(シラカシ等)シマトネリコ、ツバキ、サザンカ、サカキ、ヒサカキ、
カラタネオガタマ等です。

落葉樹の剪定時期

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秋になると紅葉(黄葉)し、冬に葉を落とす落葉樹は、葉を落としている冬の間11月~3月が適期です。
落葉したら剪定していいということです。
形を整えるための強い剪定を行うのにも最適な時期です。(冬期剪定)

また、新芽がそろった夏7~8月頃にも剪定をおこなってもよいです。

エクステリアで用いる落葉樹の主な樹種としては、
アオダモ、アオハダ、ヒメシャラ、モミジ類、ジューンベリー、エゴノキ、ナツハゼ、ヤマボウシ等です。

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針葉樹は名前の通り、針のように細長い葉を持つ樹木です。

マツやヒノキ、スギや、コニファー類も針葉樹に分類されます。
針葉樹は広葉樹と比べて、寒さ強いものが多く、古い葉が落ちる10~11月、と春先が適期です。


剪定する枝を見極める

美観上、樹木の健康上の観点から切るべき枝を図にしてみました。
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徒長枝(とちょうし)
幹や枝から上に伸びた枝のことで、放置しておくと樹形が乱れてしまい、さらには、勢いが良いため、他の枝の栄養がいきわたらなくなる原因にもなります。

ひこばえ
木の根元からでてくる小さな枝で、放置すると、木の衰弱の原因となります。

幹吹き
幹から直接でてくる小さな枝で、放置すると、木の衰弱の原因となります。

からみ枝
枝が絡み合ってしまった場合はどちらかを剪定を行うのが良いです。

逆さ枝 
幹に向かって内側に伸びる枝は樹形を乱す原因となるので剪定を行うのが良いです。

懐枝
内部にある小さな枝は、弱く大きくなる見込みが少ないので、剪定を行うのが良いです。


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車枝
1か所から数本の枝が放射状にでてくるものは剪定

閂枝(かんぬき枝)
幹の左右、前後の同じ位置から伸びてくる枝は一方を抜いて、交互に枝が生えてくるようにします

平行枝
長さや太さが似たような枝が平行にでてくる場合は、バランスをみて、一方を剪定します。
以上のような枝は樹形の美観的、樹木の健康のことを考えて、切除してあげるといいでしょう。

太い枝の剪定

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太い枝を切断するときは、枝と幹の間にある膨らみ(ブランチカラー)を残して、剪定してあげます。
ここの膨らみには、水分や養分などを幹から枝へ受け渡す役割、そして、微生物の増殖を防ぐ役割があります。

ブランチカラーを切除、傷つけてしまうと、傷口から腐りやすくなるだけではなく、樹皮がうまく巻き込んでくれずに、
傷口が塞がりにくくなってしまいます。



生垣の選定方法

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生垣は下の方が萌芽力が弱いため、上の幅に合わせて下を刈ってしまうと、下枝が枯れてしまう可能性があります。
その為、下の方から幅を決めて下部は広めに剪定します。
また、綺麗に天端を揃えたい場合は、水糸をはって天端を揃えて刈り込むといいです。


庭木の剪定の基本でした。

(参考文献:造園施工必携 一般社団法人日本造園組合連合会)